「典故300則」その2012013年04月01日 07:55


 昨年8月から始めたこの全300編の中国典故の和訳であったが、いよいよ

残り100編となった。

 今日のテーマは“史記”、司馬遷が著した130卷からなる中国の歴史書で

ある。本記12巻、表10巻、書8巻、世家30巻列伝70巻から成る。 司馬遷

の歴史観は列伝の中に良く著されており、 “人間の歴史は正義の人が栄え

不義の者が滅びるのではなく、実はその逆の場合の方が多い。”と記してい

る。 彼が唱えるまでもなく、陰と陽、正と悪、幸と不幸、交互に訪れることが

これまでの人間の歴史で明らかである。

 典故300則その201:师表 shi biao

 表は手本、模範のこと。 “师表”の意味は学習の手本である。この故事が

最も早く見受けられるのは《史记;太史公自序》に見られる “国有贤相良将,

民之师表也。”である。(因みに太史公とは官職名のこと)

 その意味は、その国の優れた官僚と立派な将軍は、民衆の学びの手本で

ある。

「典故300則」その2022013年04月02日 09:25


 今日のテーマは“失足”、もともとの意味は“足を滑らす、足を踏み外す”

ことだが、転じて“失脚する、大きな過ちを犯す、堕落する”などに用いる。

“不良少年”を中訳すれば、さしずめ“失足青年”という処である。

 典故300則その202:失足 shi zu「典故300則」その202

 《礼记 表记》の中で孔子が説く。“君子不失足于人。”その意味は、君子

は自らの本来の役目と他人に従うべきことを見失うことはない。“失足”は、

もともと自らの本来の役割と他人に任せるべきことを見失うことであり、そ

の後、過ちを犯すことを喩えるようになった。

「典故300則」その2032013年04月03日 07:56


 武芸百般という言葉があるが、これは誇張であり本来は武芸十八般という

のだそうだ。 日本の武芸十八般というのは概ね江戸時代に入ってから成立

した概念で ”弓術、馬術、槍術、剣術、抜刀術(居合)、短刀術、 薙刀術、手

裏剣術、水練術、十手術、棒術、捕手術、もじり(袖絡み )術、鎖鎌術、含針

術、鎖分銅術、砲術、柔術(体術)”の十八種としている。 語源となった本家

中国では・・・。

 典故300則その203:敲竹杠 shi ba ban wu yi

 十八種の兵器の使用技術。十八種の兵器については諸説あり、一説では

“刀,枪,剑,戟,棍,棒,槊,镗,斧,钺,铲,钯,鞭,锏,锤,叉,戈,矛。”

他の説によれば“弓,弩,枪,刀,剑,矛,盾,斧,钺,戟,鞭,锏,挝,殳,叉

耙头,绵绳,套索,白打。”

 今では“精通十八般武艺”は武芸の達人を喩える。