「典故300則」その205 ― 2013年04月05日 07:13
今日の敵役は魯の大臣李康子、魯は春秋時代晋・斉・楚などの周辺大国
に翻弄される小国であった。李康子は公室をないがしろにし、魯国を私して
いた男だが、放浪していた孔子を呼び戻し儒を重んじ国政を正そうとした男
でもある。
典故300則その205:食言 shi yan
春秋末期、鲁哀公が使節として越へ行き帰国すると、李康子と孟武伯が国
境まで出迎えた。鲁哀公は簡単な宴席を設けて大臣たちを招いた。 孟武伯
は鲁哀公に随行して城郭に行くのを嫌がり、その席上で、からかって言った。
“あなたはどうしてこんなに太っているのですか?”鲁哀公は近寄って言った。
“是食言多矣,能无肥乎?” その意味は、こんなに沢山自分の話を食べた
ら、太らずにいられますか?
実は鲁哀公は、長年に渡って魯の国の権力を操ってきた李康子達を、この
機に乗じて非難し、口先だけで権利を譲り、事実上はそれをさせず認めなか
った。
以来、“食言”は約束不履行の喩えとなった。
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