「典故300則」その2162013年04月18日 10:08


 中国の正月風景に“対联”は欠かせない。家々の扉に貼られた、赤や金など

派手に飾りたてた色紙に、左右対称に目出度い言葉を書き並べたものである。

今日のテーマは、その“対联”のもととなった“桃符”の話である。

 典故300則その216:桃符 tao fu

 言い伝えに寄れば東海の桃都山の上に一本の大きな桃の木があり、その枝

と蔓は三千里を囲えるほどであった。木の東北側には鬼門があり、多くの鬼が

そこから出入りしていた。木の下には二人の神がおり、一人を神荼、もう一人を

郁垒と呼び、彼らは悪鬼を制圧することができた。だから人々はその二人の神

の姿を桃の木の板に画き、旧暦の正月に門に掛けた。聞くところに寄れば鬼が

その画を見て入ることが出来なかったそうである。神荼と郁垒は庶民信仰の中

心的な門神となった。

 その後、“桃符”は门联,春联に変わった。王安石の詩“千门万户瞳瞳日,总

把新桃换旧符”にも、この故事が用いられている。