「典故300則」その2492013年05月23日 09:54


 今日の主役は、孔子の教えを学んだ孟子、あの性善説を唱えた儒者である。

“人は生まれつきは善だが、成長すると悪行を学ぶ”とする性善説、これに異を

唱えたのが荀子、“人は生まれつきは悪だが、成長すると善行を学ぶ”と性悪

説を説いた。いずれにしろ、人間というものは善行も悪行も行いうるものである。

 典故300則その249:乡党 xiang dang

 周朝の制度では五百戸を一党とし、一万二千五百戸を一郷とした。“乡党”の

由来は《論語・郷党》にあり、“孔子于乡党,恂恂如也,似不能言者。”その意味

は“孔子は郷里の年長者を前にしたときとても素直に恭順し、あまり発言できな

いようであった。”

 後の人は“乡党”を郷里や同郷の年長者を喩えるようになった。その後、孟子

がこの言葉を使って:“天下有大尊三;爵一,齿二,德三。朝廷莫如爵,乡党莫

如齿,辅世长民莫如德。” その意味は、天下が認める最も尊い物は三つあり、

一つは爵位、一つは年齢、もう一つは道徳である。朝廷では先ず爵位を重んじ、

世間では年齢を重んずる。

 君主が国家を治めるためには、自ずと道徳が最も重要となる。