「典故300則」その239 ― 2013年05月12日 07:11
今日の主人公は後漢書にも登場する“张楷”。彼は漢籍(中国の伝統的な
図書分類法)に極めて明るかったが、清廉潔白な彼は官職に就くことを嫌い、
俗世を離れて山中に隠居していた。
典故300則その239:五里雾 wu li wu
漢朝時代、张楷という者がおり、彼はいささかの術を持ち、瞬く間に五里先
に霧を造り出すことができた。関西に裴优という男がおり、彼もいくらかの術
ができ、三里先に霧を撒くことができた。
裴优は张楷に術を学ぼうとしたが、张楷は彼に教えることを拒んだ。その後、
裴优は霧を放ち、その機に乗じて盗みを働き、捕えられた。尋問の時、裴优は
张楷に術を学んだと供述した。张楷は連座して獄に繋がれた。その後、取り調
べを受け、今回の件にまったく関っていないことが判明し釈放され家へ戻った。
“五里雾”は深い霧、あるいは霧や雲に包まれた俗世を離れた場所を形容し、
後に“如坠五里雾中”めちゃくちゃ(糊里糊涂)で、真相が明らかでないことを
喩えるようになった。
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日本で使われている四字熟語“五里霧中”は、上述の通り“五里・霧中”では
なく“五里霧・中”である。決して“五里‘夢’中”ではない。
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