「典故300則」その2342013年05月06日 07:48


 今日は“鼎:かなえ”の話。 中国の歴史ドラマなどには必ず登場する、あの

三本足の大きな器である。 鼎談、鼎立など“3”の数を表したり、言葉の重さ

を強調する時に “一言九鼎”(いちげんきゅうてい)などと表現するが、本来の

意味は・・・。

 典故300則その234:問鼎 wan ding

 春秋時代、楚の庄王が陆浑の軍を攻めた後、雒水に至り、周王室を威圧し、

自らの力を見せつけた。 周の定王は王孙满を楚軍の慰労に派遣すると、庄

王は周朝の伝国の宝である九鼎(きゅうてい)の大小軽重を問うた。

 王孙满は言った。“鼎は徳行のためであり、大小軽重はありません。徳行が

美しく光り輝くものならば小さくても重く、もし邪悪混乱したものであれば大きく

ても軽い。周朝の徳行が衰えても天命は変わらず、九つの鼎の軽重を問う事

は出来ません。”

 鼎は古代国家の重要な道具で、国家の政権を象徴する。伝説の夏王朝の

禹王が、嘗て九つの鼎を鋳造し、九つの国を征服し、以来周王朝に至った。

 楚の庄王が鼎の軽重を問うたことは、周王朝の天下を奪おうという意志を

顕している。以来、“問鼎”は政権奪取を図ることを喩える。