「典故300則」その247 ― 2013年05月21日 09:12
“结草”とは草を結ぶこと。“衔环”とは玉環を口に銜えること。 いずれも
春秋左伝に恩返しの話として登場する。 “结草”は娘を助けてもらった父の
霊が草を結んで恩人を追う敵をつまずかせ、恩返ししたという話だが、では
“衔环”は・・・。
典故300則その247:衔环 xian huan
言い伝えに寄れば東漢の頃、九歳の少年杨宝が山で遊んでいると一羽
の鶯が鳶に引っ掻かれて木の下に落ち、今にも死にそうだったので、家に
連れて帰り心を込めて世話をした。 百日経つとウグイスの傷も癒え、また
飛べるようになった。
ある夜、杨宝が本を読んでいると、一人の黄色い着物を着た少年が彼の
前に現れて言った。“私は西王母(神話の仙女)の使いで蓬莱島に行く途中
鳶に襲われ傷付き、あなたに命を救われ、感謝は尽きません。”
黄色い着物の少年は、言い終えると、四つの玉環を取り出し杨宝に差し出
して言った。 “あなたの子孫がこの玉環のように、人徳高く(品德高尚)清廉
潔白であるよう祈ります。あなたの子孫は四代ずっと三公(最高の官職)に就
きますよ。”杨宝が頑なに遠慮すると、黄色い着物の少年はウグイスになって
飛び去ってしまった。
聞くところに寄れば、杨宝の子孫は案の定大いに栄え四代続いて東漢の朝
廷の重臣となった。
以来、“衔环”はいつも“结草”と連用し死ぬまで恩返しを忘れないことの喩え
となった。(结草衔环)
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