橋のない川2005年06月12日 21:24

 来週の日曜日、6月19日には今年も抱撲(本当は木偏)
舎で住井すゑさんをしのぶ会が開催されるという。去年夏
頃、初めて行ってみて狭い道をグルグルと探し廻ったこと
を思い出す。車で行かれる方は”軽”をお薦めする。

 住井すゑさんと言えば、勿論”橋のない川”である。私も
若い頃読んで、大きな衝撃を受けた思い出がある。当時は
確か六巻まで発刊されていた・・・?。 人を愛し、人間の
平等を訴え、差別を心から憎む作者の迫力に圧倒された。
 住井すゑという名前を聞くと、純粋で無垢であった昔の
自分が思い出される。

 二度ほど映画化もされた。一度目はまだ、モノクロ映画
で、ストーリーと画面とがやけにピタリと調和していた。
伊藤雄之助が演じていたクツ屋の親父の顔が今でも鮮明
に思い出される。まだ、ほんの若僧であった原田大二郎の
画家の卵が、とても頼もしく映っていた。

 二度目はカラー作品であった。平成に入ってからだと
思う。パンフレットに載せられていた”水平社の宣言文”が
印象的であった。高岡早紀の花嫁姿が綺麗だった。杉本
哲太、大谷直子も出演しており、辰巳琢郎が原田大二郎
の役割を演じていた。監督は、今井正から東陽一に引き
継がれていた。

 私が龍ヶ崎のコムハウスに出入りを始めた頃、品の良い
博識の好々爺と知り合い、話が弾んでいるうちに何も知ら
ない私が”橋のない川”の話を始めたところ、”それは私の
母です”と言われ、大いに驚いた。氏は犬田章さんと言い
住井すゑさんのご長男であり、コムハウスの重鎮である。

 数日後、私が那珂湊の魚市場に出かけ、向かいの遠藤
さんというお宅に、お裾分けをしたところ、後でわかったこと
だが、何と犬田さんの妹さんであった。世間は狭い!

 如何様左様に、住井すゑさん(犬田先生)とは、不思議
な縁を感じている。