カシオペア号の旅:その12005年06月01日 21:38

 先日、日頃の罪滅ぼしに妻と一緒にカシオペア号で
北海道旅行を楽しんで来た。GW明けとあって、意外
と空いていた。もっとも、予約したのは3ヶ月も前では
あったが。

 午後4時20分に上野を出発し、約17時間をかけて
札幌に到着する。全室ツインで、向かいの部屋には
私たちと同じ熟年のカップルが入られた。

 部屋にはトイレと洗面台、それにテレビが備え付け
られている。ベッドも十分な広さとは言えないが、手足
を伸ばして寝られる。シャワーも浴びたければ共用の
シャワールームがある。

 食事は食堂車で取った。予約していた豪華な幕の
内弁当は、残念ながら豪華だったのは、値段だけで
あった。

 青函トンネル内の通過を見ようと、頑張っていたが
気がついた時には、既に道内に入っていた。もう一度
連れて来る口実が出来てしまった。

 朝9時には札幌に到着の予定であったが、線路内へ
の置き石騒ぎで約1時間ほど遅れた。多少の遅れも
年寄りの閑な旅には一向に気にならない。

 昨日の夕食で懲りたので、朝食は着いてから取る
ことにした。少々我慢して小樽まで行き、三角市場で
海鮮丼を食べた。新鮮なウニとイクラとホタテが溢れん
ばかりに盛りつけられており”さすがに北海道”と妻も
私も満足した。                  <続>

カシオペア号の旅:その22005年06月02日 18:39

 ゴールデンウイーク明けの小樽は、観光客もまばらで
運河通りに並ぶ石造りの倉庫たちも、何か退屈そうに
見えた。運河工藝館で、ひとしきり小樽ガラスをながめ
た後、ふらりと美術館に入った。

 市営の美術館には、一階と二階に立派な受付があり
それぞれに職員とおぼしき人が鎮座していたが、入館
者は我々二人だけであった。黄昏れた夫婦が、何年か
ぶりに入るには、似合いの場所であった。

 宿泊地の札幌に戻った。宿は札幌駅に接して建てら
れた、市内随一の高さを誇るという”JRタワーホテル
日航札幌”というホテルであった。

 一休みしてから、夕食に出かけた。旨いラーメン屋を
探し歩いて”初代一国堂本店”という店に入った。話は
飛ぶが、私はかなりのラーメン好きである。

 修学旅行で生徒達と食べた博多の屋台のラーメンが
忘れられず、何年か前に食べに行ったこともある。目指
す屋台は”一竜”という名の店で、前と変わらぬ場所で
頑張っていた。
 さっそくお目当てのラーメンを食してみたが、あの時の
味とは違っていた。見た目は何も変わっていないかった
が、何故か違っていた。店のおかみさんに、切り出して
みると、3ヶ月前にダンナが亡くなられ、ダシが微妙に
変わってしまったと、シンミリとした返事。
 バカな事を聞いてしまったという思いが、スープの味を
余計に”しょっぱく”したように感じた。

 こんな事を思い出しながら、札幌一国堂のラーメンを
すすった。一竜のおやじのラーメンの味が重なった。

 ホテルに戻って、窓から外を眺めると、札幌の夜景が
一望できた。36階160mの高さから見る景色は絶景
であった。

カシオペア号の旅:その32005年06月03日 20:25

 二日目の朝は、35階のスカイレストラン”丹頂”で
始まった。眺めの良いところで、妻と二人でゆったり
と朝食を楽しむ。眼下には、大通公園や札幌タワー
が、右手には円山公園、その向こうに大倉山・・・。

 煩わしい浮き世をしばし離れて”心と命”の洗濯を
する。旅の一番の効能である。

 朝食を済ませ、先ほど眺めていた大倉山に出かけ
てみた。冬季オリンピックで活躍した大倉山シャンツェ
は、TVで見るよりもはるかに大きく急峻であった。

 北海道に来れば、誰もが一度は食べるというジン
ギスカン鍋を食べてから羊ヶ丘展望台に行ってみた。
 5月もなかばというのに一面雪景色であった。そう
いえば、ここへ来る時に渡った豊平川の河川敷には
積み上げられた雪の山が延々と連なっていた。
 札幌ドームまで続くように見える雪景色をバックンに
Be・Gentle!(Boys~の方が有名か)でお馴染みの
クラーク博士の銅像の前で、写真を一枚。

 大通り公園を散歩した後、時計台を覗いてみた。少
し得をした気分にさせてくれたのは、世界中の有名な
時計台の鐘の音を聞かせてもらえたことだ。ノートル
ダム寺院の鐘の音、ウエストミンスター寺院の鐘の音
もちろん本家札幌時計台の鐘の音と・・・。

 鐘の音が腹に響いてきた。そろそろ腹も空いてきた。
今夜は何を食べようか・・・。