カシオペア号の旅:その22005年06月02日 18:39

 ゴールデンウイーク明けの小樽は、観光客もまばらで
運河通りに並ぶ石造りの倉庫たちも、何か退屈そうに
見えた。運河工藝館で、ひとしきり小樽ガラスをながめ
た後、ふらりと美術館に入った。

 市営の美術館には、一階と二階に立派な受付があり
それぞれに職員とおぼしき人が鎮座していたが、入館
者は我々二人だけであった。黄昏れた夫婦が、何年か
ぶりに入るには、似合いの場所であった。

 宿泊地の札幌に戻った。宿は札幌駅に接して建てら
れた、市内随一の高さを誇るという”JRタワーホテル
日航札幌”というホテルであった。

 一休みしてから、夕食に出かけた。旨いラーメン屋を
探し歩いて”初代一国堂本店”という店に入った。話は
飛ぶが、私はかなりのラーメン好きである。

 修学旅行で生徒達と食べた博多の屋台のラーメンが
忘れられず、何年か前に食べに行ったこともある。目指
す屋台は”一竜”という名の店で、前と変わらぬ場所で
頑張っていた。
 さっそくお目当てのラーメンを食してみたが、あの時の
味とは違っていた。見た目は何も変わっていないかった
が、何故か違っていた。店のおかみさんに、切り出して
みると、3ヶ月前にダンナが亡くなられ、ダシが微妙に
変わってしまったと、シンミリとした返事。
 バカな事を聞いてしまったという思いが、スープの味を
余計に”しょっぱく”したように感じた。

 こんな事を思い出しながら、札幌一国堂のラーメンを
すすった。一竜のおやじのラーメンの味が重なった。

 ホテルに戻って、窓から外を眺めると、札幌の夜景が
一望できた。36階160mの高さから見る景色は絶景
であった。