「典故300則」その162 ― 2013年02月10日 09:53

今日の主役は墨子、紀元前400年頃の中国で一切の差別が無い博愛主義
を説いて全国を遊説した墨家の始祖である。 2007年に創られた中国・日本・
香港・韓国の合作映画“墨攻”は、時を経て次第に腐敗した墨家をたった一人
で立て直そうとした男の話である。
典故300則その162:墨守 mo shou
ある時、楚が宋を攻めなければならない時、事前に攻城用の長梯子の設計を
鲁班に頼んだ。墨子はこの事を聞いて、急いで楚に駆け戻り、楚王に宋を攻め
る必要はないと説いた。鲁班は自分の発明の成果を捨て難く、実戦でその効果
を試したいと思った。
墨子は言った。“そんなものは実戦では役に立たない、我々で今試してみよう”
言うなり、衣服を改めて城壁を包囲させた。 鲁班は異なる方法で九度城を攻め
たが攻略できなかった。鲁班の考案した城攻めの武器は使い果たしたが、城は
依然攻め落とされず、墨子の防御の策は、まだ多く残されていた。
それ以来墨子が城を守ることに長けていることが広まった。以来、防御に長け
ている人を“墨守”と呼んだ。今では“墨守”は古いしきたりに固執する頑固者に
用いている。
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