「典故300則」その1612013年02月09日 07:00


 今日の主人公は夏桀(かけつ)、夏王朝の最後の皇帝である。徳で統治を

するのではなく、武力で諸侯や民衆を押さえつけたので、諸侯や民衆に憎ま

れた。 酒の池に船を浮かべて、肉山脯林(にくざんほりん)と呼ばれるような

肉を山のように盛る豪華な宴会で享楽の限りを尽くし、国力は衰えやがて滅

んだ。夏王朝とは紀元前2070年頃から、約500年続いた中国最古の王朝

である。

 典故300則その161:民贼 min ze

 孟子の《孟子・告子章句下》の中で言う。“今之事君者曰「我能为君辟土地,

充府库。」今之所谓良臣,古之所谓民贼也。君不乡道,不志于仁,而求富之,

是富桀也。”

 その意味は“現在君主に仕える者は皆言っている。「自分が君主に変わる

ことが出来れば土地を開墾し倉庫をいっぱいにできる。」現在の所謂功臣は、

実は以前民を苦しめた者である。 君主を道徳や仁道に向かわせることなく、

富を求めさせたことは、夏桀に金銀財宝の蓄財をさせたと同じことである。”

“民贼”は後に人民を虐げた官僚の喩えとなり、今では“民贼”は国家と人民

に対し重大な犯罪を犯した者に用いている。