「典故300則」その1722013年02月21日 09:23


 今日の主人公は中国春秋時代の政治家“管仲”、男同士の固い友情を喩える

言葉“管鮑の交わり”で知られる男である。

 典故300則その172:匹夫 pi fu

 ある日、孔子と弟子達が一緒に何人かの著明な政界人について論じていた。

子路が言った。“斉桓公は公子纠を殺し、公子纠の家臣は主に殉じる事をなお

ざりにして管仲も公子纠の家臣でありながら彼は殉じることなく、却って桓公を

助けに走った。管仲は仁徳があるとは見なせないのでは?”

 孔子は言う“桓公は武器を使わず民の暮らしを大して損なうことなく覇業を遂

げた。盟主になってからも天下の正道を行き、多くの民に恩恵を与えた。これは

すべて管仲の働きによるものである。これこそ仁徳である。” 続けて孔子が言

った。“岂若匹夫匹妇之为谆也,自经于沟渎而莫之知也?”

 その意味は“管仲が普通の人間のように悩んだのなら、小さな誓い(主に忠)

を守るため、人知れず河に身を投げたのではないか?”

 “匹夫”は、もともと普通の男を指す、今ではありふれた人を言い、時には無知

無学な者を言う。