わたしの童話(その2)2005年07月13日 20:10

 住井すゑさんの書かれた”わたしの童話”から、彼女の
世界観や人生観を良く表している部分を紹介したい。

 人間がつくった制度は、あっちの国にあてはまっても、
こっちの国にはあてはまらないということがあるけれども
宇宙の法則、自然の法則というものは、もっとも普遍的で
どこへでもあてはまる。人間は平等であるという法則です
ね。(133ページ3行目から)

 童心というのは、人間はみんな平等だという心ですね。
白人の子も黒人の子も、小さいときはいっしょになって遊
んでいる。けっして差別しない。いやがらない。
 童心というのは、ものを知らない、ということじゃないで
すね。ものを一番知っている心ですよ。人間が平等だと
いうことを知っているというのは、一番大きなことを知って
いるということでしょ。子どもは何も知らないんじゃなく、
子どもこそ、あらゆるものを抱擁するだけの力があるわけ
よね。(145ページ11行目から)

 労働の大切さ、これは子どもに第一番に教えなくては
いけないことなのに、立身出世主義の話ばかりですから
ね。立身出世というのは、働かずに安穏な生活ができる
ような構造の中に入りこむことなんですね。
 だから、いまこそ、「古い古い」といわれる二宮尊徳の
思想を普及しなくちゃいけないと私は思うんです。
 二宮尊徳は”万人これをなして災いなきは農なり”と、
こう言っているんです。「世の中にはいろいろな職業が
あるが、高貴な職業だといわれる職業ほど、大勢の人を
必要としない。王様はえらいといっても、二人いてはこま
る。殿様も一人だ。しかし、この世の中には、すべての
人がそれをやっても、めいわくにならない仕事がある。
それが本当の仕事だ。それは農業だ」と二宮尊徳は言
いきったんです。(148ページ6行目から)

 他にも”空はなぜ青いか”という問題を三千年前に既に
荘子が説いている話や、残酷な「皆勤賞」の話などなど
心に滲みる話が満載です。ぜひご一読あれ・・。