「典故300則」その572012年10月18日 08:49


 今日のテーマは“買い物”、中国語では“买东西:東西を買う”と言う。果たし

て、どのような謂われがあるのだろうか?

 典故300則その57:东西 dong xi

 宋の大学者朱熹が、ある日親友の盛温如に会いに行った時、ちょうど彼は

籠を持って出かける処であった。朱熹が何をしに行くのかを問うと彼は言った。

“去买东西。”朱熹が笑いながら聞いた。“君は東西だけを買うのか、南北は

買わないのかい?”

盛温如が言うには“東は木に属し、西は金属に属す、おしなべて俗世間は木

と金からなり、この籠に詰め込むことができる。しかし南は火に属し北は水に

属す、火や水は籠に入れることはできない。だから、東西だけ買い南北は買

わないんだ。”朱熹は頷きながら言った。“わかった、わかった。”

 以来、“东西”は方向のことだけでなく日常的に用いられる言葉となり、買い

物という意味を表すこととなった。