「典故300則」その52 ― 2012年10月13日 07:28

今日の主役は王粲。 三国時代、荊州の劉表に仕えたが風采が上がらない
外見のせいで重用されなかったが、劉表が亡くなると魏王曹操に仕え、その
力量を存分に発揮した。曹操は臣下の才を見抜く力に優れており“才あれば
用い、素性を問わず!”極悪非道と評されている曹操だが、自分の命を狙った
人間さえも、その才を認めさえすれば軍師として用いるなど、極めて合理的な
人材登用を実践していたようだ。王粲は計数に強く、また優れた記憶力を持っ
ており、碁盤の石が散らばっても、全て元通りに戻すことができたと言われて
いる。
典故300則その52:倒屣dao xi
“屣”は靴のこと、“倒屣”とは靴を逆さに履いて歩くこと。 王粲は東漢末期の
極めて優れた文学者。 彼は子供の頃から天賦の才があり、記憶力は抜群で
あった。
ある時、彼は蔡邕に会いに行った。蔡邕は当時朝廷の重臣であり、かつ大学
者でもあった。蔡邕は王粲が来たことを聞き、きちんと靴を履けず逆さに履いた
まま駆けだして出迎えた。 蔡邕がこのように急いで出迎えたので、賓客たちは
皆どんなにすごい人物が来たのかと思った。王粲が入って来ると皆いっせいに
目を向けたが、意外にも小さな子供であったので一同はたいそう驚いた。蔡邕が
皆に言った。“この子の才知は抜きん出ている、私でさえ彼には及ばない。”
以来、“倒屣”、“倒履”は客に対する特別な熱情を形容する言葉となった。
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