今日の四字熟語その12013年07月20日 10:48


 今日の四字熟語その1 羊頭狗肉

 昨日で中国故事「典故300則」の翻訳紹介が終わった。今日からは新しい
テーマに取り組むこととした。新テーマは「今日の四字熟語」、日々の出来事
に沿った四字熟語を選んで、その所見を記してみたい。

 初日となる今日の四字熟語は「羊頭狗肉:羊頭を掲げて狗肉を売る」、口で
は上手いことを言いながら、その実正義に背いた誠意を欠く行いを喩える。

 現在、Gyaoで孔子の生涯を綴った「恕の人」がオンエアされている。孔子の
興した儒教は、今も中華人民の精神的支柱とされ、時の為政者に尊重されて
いる。 儒教とは仁、義、礼、智、信の五常を基本とし、その徳性を拡充する事
により五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)の関係を維持する事を示したもの
である。

 孔子は生涯この理想を持って諸国を遊説するも、生涯重用されることもなく
失意の内にこの世を去ったのだが、伝統的な習慣・制度を重んじる孔子の教
えは、国を治める為政者にとっては極めて都合の良い教えであり、彼の死後
中華の国是として連綿として受け継がれている。

 五倫の中の君臣関係(君に忠、臣に慈)は、今では国家と国民の関係に置
き換えられ、国民に対し国家への忠誠心を強く求めている。一方、国民に対
する国家の慈しみは高級官僚の不正、一般市民への弾圧、数え切れない程
の裸官の跋扈などで応えている。まさに「羊頭狗肉」の実態である。