「典故300則」その2972013年07月16日 06:16


 三国時代の英雄、曹操孟徳の外見は「姿貌短小:しぼうたんしょう(容姿優れぬ

ぬ小男)」とあり、三国志に登場する英雄の多くが、背が高く威風堂々とした優れ

た外見と記述されているのとは対照的である。しかし彼には隠しきれない強烈な

オーラが発散されていたようだ。

 典故300則その297:捉刀 zhuo dao

 三国時代、魏王の曹操が匈奴の使者と会見した。彼は自分の風采が良くない

ことを気にして、匈奴の使者に侮られるのを恐れ、武官の崔琰を呼び自分に扮

装させ、匈奴の使者に会見させ、自らは護衛兵に扮して刀を手にして椅子の傍

らに立っていた。

 会見後、曹操は人を遣って使者に聞いた。“あなたは魏王をどう見ましたか?”

使者は答えた。“魏王は風格非凡で上品でしたが、傍らに刀を携えて立っていた

男にはとうてい比べられません、彼こそ真の英雄です!” 曹操は匈奴の使者の

眼力がこんなに凄いとは思わなかった。 そして、すぐに人を遣って追いかけさせ

匈奴の使者を殺害してしまった。

 捉とは掴む、握ること。後に“捉刀”、“捉刀代筆”は代筆(人に代わって文章を

書く)を喩えるようになった。