「典故300則」その2872013年07月05日 08:06


 今日の主人公は名君と謳われた北宋の太祖“趙匡胤:ちょう きょういん”。当時

の通例となっていた政敵の虐待抹殺を良しとせず、温情を持って政を治めた。

 南漢最後の君主劉鋹は、屡々毒酒をもって臣下を毒殺していた。 彼は趙匡胤

に降伏して巡幸に従った時、趙匡胤より酒杯を勧められると 自身を毒殺しようと

してるのではないかと思い、泣きながら“私の罪は決して許されるものでありませ

んが開封の庶民として泰平の世を過ごさせてください。 どうかこの酒杯を飲ませ

ないでください”と言った。これに対し、趙匡胤は笑って“自分は人を厚く信頼して

いる。どうして汝だけ信じないことがあろうか”と言い、その酒杯を飲み干し新しく

酒を酌み劉鋹に飲ませたという。

 典故300則その287:之乎者也 zhi hu zhe ye

 宋の太祖赵匡胤が、ある時 朱雀門の前に来て門の額に書かれた“朱雀之門”

の四文字を見上げ、傍にいた大臣の赵普に問うた。朱雀門にはなぜ“朱雀之門”

と書いてあるのか、あの“之”の字にはどんな意味があるのか? 

 赵普が答えた。“之”は助詞(てにをは)です。 赵匡胤は大笑いしながら言った。

“之乎者也などは虚字であり、どんな助けとなるというのか?”

 その後、人々は“之乎者也”を文人が字面にばかりこだわり(咬文嚼字)実を求

めない(内容を重視しない)ことを喩えるようになった。