「典故300則」その932012年11月27日 09:49


 今日のテーマは“糟糠の妻”、畳と女房は新しいほど良いなどと言う不届き

者(正直者)にはぜひ一読されたい。

 典故300則その93:故剑gu jian

 漢朝時代、许广汉という人がおり、彼の娘の平君が十四五才の時、欧侯の

家へ縁組みさせたが、式の直前に欧侯の息子は亡くなってしまった。许广汉

はすぐに娘を刘询に嫁がせた。刘询は漢の武帝の曾孫で、両親が殺された

ので暫く庶民の家に預けられており、とても卑しい身分であった。平君と刘询

が結婚して一年後、刘奭liushiという子供が生まれた。

 数ヶ月後、刘询は皇帝に立てられ漢の宣帝となった。この時、大臣達は挙っ

て大将軍の霍光の娘を皇后にするよう宣帝に建議したが、宣帝はそれに対し

“求微时故剑:これこそ自ら探し求め、身分の低いときに使った剣である。”と

言い、彼等の進言を退けた。大臣達は納得し、皇帝はかつて自分と共に苦労

した平君を忘れず、许平君を皇后に立てた。

 以来、“故剑”は最初に娶った妻のことを言い、“不忘故剑”は結ばれた妻と

の情愛を表す。