「典故300則」その10 ― 2012年09月01日 06:39

中国の伝統的楽器といえば、我々日本人は真っ先に二胡を思い浮かべるが、
この楽器は、唐代~宋代(AD600年代以降)にシルクロードを経由して西方から
伝来したと言われており、中国にはさらに古い伝統楽器が存在する。 古琴と
呼ばれる七弦の琴で、3000年の歴史が有るという。ご存知三国志の中で蜀の
諸葛亮が魏の司馬懿に攻められた時、陽平関で「空城の計」を用い、城門の上
で優雅に奏でていた琴である。
典故300則その10:板眼
中国の伝統的音楽に“板眼”と呼ばれる奏法がある。強く叩くを“板”と言い、稍
強く叩いたり弱く叩くのを“眼”と言った。
以来、“板眼”、“有板有眼”は道理,妥当、法則などの喩えとなった。
「典故300則」その11 ― 2012年09月02日 06:39

今日のテーマは、中国の歴史書「後漢書:应奉伝」にも記載されている故事
から。
典故300則その11:半面
漢朝の時代、应奉という男がいた。彼は二十歳のある日、彭城に住む袁贺
という男を訪問したことがあった。 生憎その日、袁贺は出かけていて留守で
あった。家の中からは造车匠の物音が聞こえ、扉がわずかに開き、顔を半分
出して应奉を見るとすぐに扉を閉めてしまった。应奉は袁贺に会えず、仕方なく
帰った。数十年後のある日、应奉は路上でその造车匠に出会した。なんと彼を
見分けると挨拶をした。どうやら应奉の記憶力は尋常ではなかったようだ。
以来、人々は“半面”、“半面之交”を、顔を合わせただけの深い交際がない
関係を喩えた。また一方では“半面”を飛び抜けた記憶力の持ち主の事を喩え
るようになった。
「典故300則」その12 ― 2012年09月03日 07:08

昨日、久々に雨が降った。激しい雨のおかげで我が家の庭の花や野菜
たちも、朝晩の水やりに汗していた妻も、大いに喜んだことだろう。
雨を乞う時、中国時代劇「水滸伝」の主人公“宋江”を思い出す。梁山
泊の好漢百八人の首領で、あだ名を“及時雨:じーしーゆい”と呼ばれて
おり、これは“恵みの雨”という意味である。彼は役人時代、礼節を重ん
じ品行清廉で、困っている民を見ると、見返りを求めることなく救済した
という。賄賂で成り立つ中国社会には、希有の人財である。
今日のテーマは、禅のお話。
典故300則その12:棒喝
仏教の禅僧が入門者を迎える時、いつも棒で頭をひとつ叩き大声で一喝し
その適正を見た。
以来、“棒喝”、“当头棒喝”は人を目覚めさせる警告を喩えるようになった。
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