「典故300則」その362012年09月27日 07:26


 日本には“柳腰”という表現がある。柳の枝のように細くしなやかな腰を喩える

言葉で、細身の美人の腰をたとえて言う。中国には“柳腰”ならぬ“楚腰”がある

という。果たしてどんな腰なのか?

 典故300則その36:楚腰 chu yao    

 墨子曰く“昔者楚灵王好士细腰,故灵王之臣以一饭为节,胁息然后带,扶墙

然后起”その意味は、楚の灵王は細身の知者を好んだので、彼の臣下は毎日

ずっと一膳飯で、息を止めて帯を締め上げ、壁を支えとして、やっと立ち上がる

ほどであった。

 韓非子曰く“故越王好勇,而民多轻死;楚灵王好细腰,而国多饿人。” その

意味は、越王の勾践は勇を尊んだので庶民は死を恐れなかったが、楚の灵王

は痩身を好んだので国中が飢えていた。

 上記の2つの話はいずれも楚王が痩身好みであることに言及しており、後の

人々は“楚腰”を女性の細腰を喩えるに用い、“楚王好细腰”を、官僚はどんな

ことにも従い、下々の庶民は何にでも阿ることの喩えとして用いるようになった。