「典故300則」その29 ― 2012年09月20日 08:06

今日の主人公は文才に優れた徐陵と魏収の二人、徐陵は度量が広く、「一代
の文宗」と称えられるようになっても人に驕ることなく、後進の文人たちに対して
も丁寧に応対したという。
一方魏収の方は傲慢で好色、権力者に平気でこびへつらったなどのことから
評判はすこぶる悪かったようだ。
典故300則その29:藏拙 cang zhuo
南北朝の頃、梁朝の詩人徐陵は名声を博しており、北斉から招聘を受けた。
当時、魏収は北斉の才知と言われており、彼は自らの詩を編集し徐陵に送り
徐陵に江東の地での彼の名声ぶりを伝えた。徐陵は河を渡っている時、魏収
の文章を水の中に投げ捨てたが随行の者は誰も理解出来なかった。徐陵曰く
“私は魏公(魏収)の為に捨てたのだ。”その意味は、彼は魏収に変わって彼の
詩文の稚拙さを隠したのだという。
以来、人々は“藏拙”を他人に笑われないように自らの欠点を隠すことの喩え
として用いるようになった。
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