「典故300則」その282012年09月19日 06:50


 今日の主役の王远は、科挙の一次審査とも言える孝廉に推挙され、郎中とな

り、中散大夫に任じられた後、官職を辞して仙人となったと言われる男である。

孝廉とは父母への孝順及び物事に対する廉正な態度を意味するもので、科挙

の中でも最も重要視された科目である。

 典故300則その28:沧桑 cang sang   

 言い伝えによると東漢時代、王远という学識の高い男がおり、彼は世の中の

出来事を事前に知ることが出来た。 その後、王远は官職を辞して山に入って

修行し、仙人となった。

 ある日、王远は5匹の龍が引く車に乗って蔡经の家を訪ねた。随行の者は数

百人、楽隊を従えた様子は実に壮観であった。ほどなく、女性の仙人である麻

姑もやって来た。彼女が王远に向かって言った。 “この前お会いしてから、今

までに東海は既に三度も桑畑に変わりました。先日蓬莱山から眺めたら海水が

半分に減りましたよ、また陸地に変わるのかしら?” 王远が言った。 “聖人が

言うには、海の中は繰り返し塵が舞い上がっているそうです。”

 “沧桑”とは、大海原が桑畑に変わること、世の中が大きく変化することの喩え

となった。