「典故300則」その162012年09月07日 07:11


 今日の主役は建安の七子の一人、王粲。三国時代、中国全土に悪名を

轟かせた曹操孟徳に見込まれた文人である。「七歩の詩」で有名な曹操の

三男曹植とも詩作を競った仲である。

 典故300則その16:背诵   

 王粲は東漢末期の高名な建安七賢人の一人だ。彼の記憶力は極めて

優れていた。ある時、彼と何人かの友人が町はずれに遊びに行き一つの

石碑を見かけた。その表面にはびっしりと文字が刻まれていた。みんなで

一読し、ある者が王粲に石碑に背を向けて朗読するよう頼んだ。

 王粲が言った。“では、やってみましょう”言い終わると石碑に背を向けて

立ち、声高に朗読を始めた。みんなが見つめる中、なんと一文字もも間違

わなかった。

  “背”とは原文に背を向けること、“诵”とは声を出して読み上げること。

“背诵”とは原文を見ないで記憶だけで文章を朗読すること。