「典故300則」その112012年09月02日 06:39


 今日のテーマは、中国の歴史書「後漢書:应奉伝」にも記載されている故事

から。

 典故300則その11:半面   

 漢朝の時代、应奉という男がいた。彼は二十歳のある日、彭城に住む袁贺

という男を訪問したことがあった。 生憎その日、袁贺は出かけていて留守で

あった。家の中からは造车匠の物音が聞こえ、扉がわずかに開き、顔を半分

出して应奉を見るとすぐに扉を閉めてしまった。应奉は袁贺に会えず、仕方なく

帰った。数十年後のある日、应奉は路上でその造车匠に出会した。なんと彼を

見分けると挨拶をした。どうやら应奉の記憶力は尋常ではなかったようだ。

 以来、人々は“半面”、“半面之交”を、顔を合わせただけの深い交際がない

関係を喩えた。また一方では“半面”を飛び抜けた記憶力の持ち主の事を喩え

るようになった。