「典故300則」その1052012年12月10日 07:51


 今日のテーマは“紅娘”、日本語では“てんとうむし”と読む、漢字検定1級

の難読漢字である。中国語では“ほんにゃん”と読む、紅い娘にどんな意味

があるのでしょうか。

 典故300則その105:红娘 hong niang

 芝居《西厢记》の中に、こんな話が語られている。唐の朝廷の宰相である

崔相国の娘崔莺莺は、張という一人の書生を好きになった。しかし崔婦人

は貧乏人を嫌って、いろいろとこの結婚を邪魔した。莺莺の下女の红娘は

善良で聡明であり、彼女は巧妙に張生とお嬢様の婚礼を助けた。

 それゆえ“红娘”は、以来媒酌人の代名詞となった。

「典故300則」その1062012年12月11日 07:39


 今日のテーマは“喜び”を表す文字の誕生のお話。 祝い事が重なった時、

この上なく目出度い気持ちを、たった一文字で表すことができる便利な文字

である。

 典故300則その106:红双喜 hong shuan xi

  “囍”は一種の文様であり、二重の喜びを表し普通結婚式場に貼ってある。

言い伝えによれば,この故事は宋の時代から来ている。北宋の宰相王安石

が若い頃科挙の受験で上京して帰る途中、ある屋敷の門に一つの走馬灯が

掛けられ、灯の上には一枚の張り紙がしてあって“走马灯,灯马走,灯熄马

停步。”と書かれていた。

 尋ねてみて解ったことは马员外(馬さんというお役人)が一人娘の婿選びの

為の対聯で、もう半年にもなるのに誰もできなかった。 王安石は筆を執ると

見る間に書き上げた。“飞虎旗,旗飞虎,旗卷虎藏身。”马员外は大喜びして

すぐに娘を王安石に嫁がせた。祝言の日ちょうど王安石が科挙に合格したと

いう吉報が伝えられた。王安石は大喜びして、すぐに筆を執って大きく“囍”と

朱書きして門前に貼り出した。

 この事から“囍”の字は手軽に広く使われるようになった。

「典故300則」その1072012年12月12日 21:26


 今日の言葉は“狐疑逡巡:こぎしゅんじゅん”、悲劇の人屈元の詩“离骚”の

中に記された言葉である。あの三国志の中で奸雄と呼ばれた曹操が好んで

謳った“国殤”の作者でもある。

 典故300則その107:狐疑 hu yi

 聞く所に寄れば狐は生まれつき疑い深く、人々は“狐疑”を疑いを抱くという

意味で用いる。 “狐疑”が最初に出たのは《离骚》の中で、“心犹豫而狐疑狐

疑兮,欲自适而不可。凤凰既受诒兮恐高辛之先我,欲远集而无所止兮,聊

浮游以逍遥。”その意味は;私は心中定まらない時、自ら行動すべきではない

と思う。鳳凰はすでに賄賂の品を受け取り、おそらく高辛は私より先を行くだろ

う。身の置き所がなくて遠くに行ってしまいたい場合は、あちこち放浪するしか

ないのだ。