幼児期の延長2006年12月01日 21:48

< 故障率曲線(バスタブ・カーブ)  >

 先日回想法の講座を受講した。講師の小林教授によ
れば、かつての人生60年時代には”認知症”に至る前
に肉体の寿命が尽きてしまったため、あまり問題視され
てこなかったのだという。脳の方が、肉体よりもはるかに
タフであった頃の話である。

 今では女性85歳、男性78歳という、とてつもない長寿
社会となった日本では、肉体と脳の寿命が逆転した結果
今日の”認知症”問題が、クローズアップされて来たのだ
という。
 
 写真は当該製品の故障率の時間的変化を表したもの
で、その形状から通称”バスタブ・カーブ”と呼ばれてい
る。最初は初期故障期と呼ばれるもので、一般的に故障
発生率が高い。この期間を無事通過すると、性能が安定
し故障率は極めて低くなる。これを安定期または偶発的
故障期と呼んでいる。

 この安定期を過ぎると、次第に故障率が増え、やがて
寿命が尽きる。この推移は、人間の健康状態を表現する
のにも良く当てはまり、それぞれ幼児期、壮年期、老年
期と言い換えることができる。

 戦後60年、日本人の寿命は目覚ましく延びて来たの
だが、伸延されたのは壮年期や老年期ばかりではない。
最近の若者や大人達の無軌道で稚拙な事件の報道に
触れる度、心の幼児期の延長が最も顕著なのではない
かと感じられる。