「典故300則」その1142012年12月20日 18:51


 今日のテーマは、「三国志」、「西遊記」と並んで中国三大奇書と称され、我々

日本人にも馴染み深いあの「水滸伝」から。

 典故300則その114:火并 huo bing

 水滸伝の中にこのような記述がある:晁盖と吴用達は生辰纲を知略で攻め

取った後梁山を頼って仲間に入ることを決めた。 当時、梁山の頭領は汪伦と

いう男で心が狭く晁盖達が来て彼の地位を脅かすことを恐れ、上辺では晁盖

達を歓迎していたが内心では彼らを受け入れたくなかった。

 不条理な上司にやむを得ず反抗し、梁山に逃れて来た東京八十万近衛兵の

教頭だった林冲は晁盖達が仲間に入ることを強く願っており、彼の意見は汪伦

の反対を受け、とても悩んでいた。

 吴用は機に乗じて、密かに晁盖に言った。“今、林教頭は汪伦と仲間割れする

ことが避けられない。彼はいささか気が進まないようですが、私の舌先三寸(三

寸不烂之舌)で説得にかかれば、彼は仲間割れしない訳はないでしょう(不由他

不火并)。” 結局、林冲はとうとう汪伦を殺し、晁盖は砦の首領になった。

 “火并”の意味は、仲間同士争って互いに殺し合うこと。以来、“火并”は貶める

ことに用いられるようになった。