「典故300則」その108 ― 2012年12月13日 08:53

“七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞ悲しき。” これは
歌人太田道灌の山吹伝説に出てくる、兼明親王が詠んだとされる歌である。
日本では、山里の少女がこんなに洒落た断り方をしたのだが、孔子の弟子で
ある子夏が、どんな断り方をするのか見てみたかった気がするが・・・。
典故300則その108:护短 hu duan
ある時、孔子と弟子たちが出かけた時雨に見舞われた。 一人の弟子が言
った。“子夏の家は此処から遠くない、みんなで傘を借りにいきましょう。”子夏
も孔子の弟子である。孔子は同意せずに言った。“友と付き合うには友の短所
を見ず長所を見る必要がある。子夏は割とケチなので我々が借り物に行けば
残念なことに彼の短所を見ることになるのではないか?”その結果、師弟は雨
に濡れながら帰った。
晋の時代の文人嵇康が友人に宛てた手紙の中に、嘗てこの件について触れ
ている。 彼が言うには“仲尼不假盖于子夏,护其短也!” その意味は;孔子
は子夏に傘を借りにいかなかった。これは彼の短所を養護し、容認したことだ!
“护短”という言葉は、今では自分或いは自分の味方の欠点や過ちを庇うこと
の喩えに用いられている。
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