仏説摩訶般若波羅密多心経(その11)2005年11月13日 21:47

 以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅密多故
 心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖
 遠離 一切顛倒夢想 究竟涅槃

○.大乗仏教の菩薩(求道者)は、般若波羅密多を実践
 しているから、その心はなにものにも執着することが
 なく、こだわりがない。こだわりがないから恐怖もな
 いし、物事をさかさまに捉えることもなく、妄想に悩
 まされることもなく、心は平安である。

 三世諸仏 依般若波羅密多故 
 さんぜしょぶつ えはんにゃはらみったこ
      得 阿褥多羅三藐三菩提
      とく あのくたらさんみゃくさんぼだい

 ”三世諸仏”の三世は、過去・現在・未来のことで永遠
の時の流れを云う。”時”に対して空間を十方(東西南北
の四方と東南・東北・西南・西北の四維に上・下の二方を
合わせたもの)と云っている。三世十方という。つまり
永遠の時間と無限の空間にいる諸仏(諸処の悟れる者)の
意味である。

 ”得”は、得るということ。”阿褥多羅三藐三菩提”は
梵語の”アタッタラー、サンミヤク、サンボーデイ”の音字
で、アタッタラーは無上、これ以上のものはないの意。サン
ミヤクは、正しい、偽りのないという意味。サンボーデイは
すべての智慧が集まっているという意味で、あまねく知る
ひとしく悟るということ。

 人間は実在的な存在であるとともに覚在的存在(現実
に迷っていても、やがては目覚めるという本質)であると
いう考えを示したものである。