国立療養所久里浜病院(その3) ― 2005年11月04日 22:20
二度目の入院は、それから間もなくであった。今度の
病棟は前回の東側に位置し、長い渡り廊下を歩いてゆく。
多分、海軍病院であった頃のものと思われる古い造りで
ある。渡り廊下の壁板や風防の窓ガラスが割れたままに
なっているのが、これから行く所が尋常ではないことを
物語っている。
病棟に入ると、ロビーに屯した数人の入院患者が私達
を見つめている。どんよりとした眼差しであった。棟内
も前回の病棟に比べると明らかに違う。照明も心なしか
やや暗く、看護スタッフ達の表情も険しい。西側病棟の
様な若い看護婦達の姿はまったく見あたらない。ピンと
張りつめた重苦しい雰囲気が漂っていた。
二度目の入院でも彼は治療に真剣に取り組んでいた。
軽い作業と適度な運動、規則正しい生活と徹底した断酒。
身体は順調に回復していったが、根本の原因である心の
病が癒えなければ、完治はできない。心に病がある限り
結局酒に溺れることになるからだ。
彼が治療に励んでいる時、実家で不幸が起きた。彼の
良き理解者であったお父上が亡くなられたのだ。葬儀の
ため、急いで実家へ帰った彼を、私も若手数名とともに
通夜の準備から告別式まで手伝った。葬儀を済ませると
すぐに病院へ戻した。家に居れば、どうしても酒を飲み
たくなってしまうからだ。
二度目の入院は、期間満了の三ヶ月で退院となった。
完治した訳ではないが、直接命にかかわる病でないこと
から、長くは入っていられないのだ。結局奥さんは前回
の入院時もお義父さんの葬儀にも、そして今回の入院に
も一度も顔を見せなかった。
今度の退院では、さすがに職場に戻す訳にはゆかず、
お母上のおられる実家で療養することとなった。実家で
は、お母上と一緒に畑仕事をしながら必死に酒と戦って
いた。お母さんも懸命だった・・・。
病棟は前回の東側に位置し、長い渡り廊下を歩いてゆく。
多分、海軍病院であった頃のものと思われる古い造りで
ある。渡り廊下の壁板や風防の窓ガラスが割れたままに
なっているのが、これから行く所が尋常ではないことを
物語っている。
病棟に入ると、ロビーに屯した数人の入院患者が私達
を見つめている。どんよりとした眼差しであった。棟内
も前回の病棟に比べると明らかに違う。照明も心なしか
やや暗く、看護スタッフ達の表情も険しい。西側病棟の
様な若い看護婦達の姿はまったく見あたらない。ピンと
張りつめた重苦しい雰囲気が漂っていた。
二度目の入院でも彼は治療に真剣に取り組んでいた。
軽い作業と適度な運動、規則正しい生活と徹底した断酒。
身体は順調に回復していったが、根本の原因である心の
病が癒えなければ、完治はできない。心に病がある限り
結局酒に溺れることになるからだ。
彼が治療に励んでいる時、実家で不幸が起きた。彼の
良き理解者であったお父上が亡くなられたのだ。葬儀の
ため、急いで実家へ帰った彼を、私も若手数名とともに
通夜の準備から告別式まで手伝った。葬儀を済ませると
すぐに病院へ戻した。家に居れば、どうしても酒を飲み
たくなってしまうからだ。
二度目の入院は、期間満了の三ヶ月で退院となった。
完治した訳ではないが、直接命にかかわる病でないこと
から、長くは入っていられないのだ。結局奥さんは前回
の入院時もお義父さんの葬儀にも、そして今回の入院に
も一度も顔を見せなかった。
今度の退院では、さすがに職場に戻す訳にはゆかず、
お母上のおられる実家で療養することとなった。実家で
は、お母上と一緒に畑仕事をしながら必死に酒と戦って
いた。お母さんも懸命だった・・・。
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