間もなく半年2005年11月01日 23:01

 私がこのブログを始めてから、間もなく半年になる。
他愛もない話ばかりだが、毎日ここに書くことは今では
私の日課になっており、書かなければ眠れない。しかし
毎日その日のうちに書いているようになっているが、実
の処これまでに2度ほど翌日にズレ込んでしまったこと
がある。後からそっと日付を修正しているのだ。

 一度目は昔の仲間と遅くまで飲み、深夜に帰ってその
まま眠ってしまい、朝早く起きてあわてて書き込んだ。
二度目は先月1日の土浦の花火大会で、11時45分の
最終電車に乗り込んだのだが、家に着いた時には既に
零時を回っていた。どちらも書き込み時間を見ればひと目
でわかるようになっている。

 今回のイベントや先日の交流会など、その日の出来事
をネタにできる場合は良いのだが、平凡な毎日を送って
いる私にとって、しばしばネタに窮することがある。

 そんな時の書き込みは、大体昔のホームルームや授業
の息抜きに使った小話やクイズのたぐいになる。書き込み
時間を見ていただき、時間ギリギリになっていれば、この
パターンである。毎日、新聞や雑誌にコラムや記事を載
せている物書きの人達の苦労が良くわかる。

 しかしブログを始めたおかげで、少しづつではあるが
自分史の下書ができあがっていくようで、とても楽しみ
である。書くべきネタに尽き、このブログへの書き込み
ができなくなった時点で、それまでの内容を再整理して
自分史として纏め上げてみたい。

 そんな訳で、もう暫く私の駄文にお付き合い頂きたい。 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今后還請多多関照。

国立療養所久里浜病院(その1)2005年11月02日 21:41

 現役時代には色々なトラブルを山ほど処理してきたが
一番悲しかったのは優秀な部下をアル中で亡くしたこと
である。私が第一線現場にいた頃、一年後輩として同じ
支店にやってきた男で、仕事熱心でスポーツ好きのいい
奴だった。

 同じ支店ではあったものの職場が離れており、たまに
しか顔を合わせることはなかったが彼の熱心な仕事ぶり
は、私の職場でもしばしば耳にした。その後私は何度か
転勤し、いくつかの支店を渡り歩いた。

 私が都内支店のある部門を任された時、彼が同じ部門
の第一線現場の課長として転勤してきた。私は久しぶり
の再会を楽しみにしていたが、彼の顔を見た時私は愕然
とした。かつての英気溢れるあのスポーツマンの表情は
そこには無かった。

 一体何があったのか。果たして第一線現場の激務に
耐えられるのだろうか。私の脳裏に不安がよぎった。案の
定三月もしないうちに彼の上司から更迭の要請が来た。

 アルコール依存症、いわゆるアル中である。奥さんとの
不仲が原因であった。私はすぐに彼を自分の職場に引き
取り治療に専念させることにした。奥さんに相談しようにも
既に別居中で連絡が取れない。同居しているという息子
さんにも協力を要請したが、あっさりと断られた。

 一人でいれば、どうしても酒に溺れてしまう。産業医に
相談し、横須賀にある”国立療養所久里浜病院”に入院
させることにした。かつての海軍病院で、アルコール治療
の専門病院である。JR久里浜駅から、バスで20分ほど
揺られてゆくと、終点が久里浜病院である。

 その病院は、海が一望できる高台に建っていた・・・。

国立療養所久里浜病院(その2)2005年11月03日 21:18

 病棟は二つに分かれており、彼が入った病棟は初めて
の入院患者を収容する所で、ごく普通の一般病棟という
感じであった。入院している他の患者さんも、一般病院
の入院患者と何ら変わらない。、痛がったり苦しんだり
していない分、むしろ病棟は明るい雰囲気であった。

 入院すると、徹底した断酒の効果が如実に顕れ、彼は
みるみる回復してゆき、元気な笑顔も戻ってきた。本人の
必死の努力と病院側の手厚いケアにより、ふた月ほどで
退院の許可が出た。

 退院に立ち会った時、主治医から退院後も決して酒を
飲ませないようきつく言われた。そして治る患者は最初
の入院できっぱりと酒を止める。もう一度入院するよう
であれば、治癒は難しいとも言われた。

 退院後、間違っても酒を飲まぬよう毎日”抗酒薬”を
飲むよう言われていた。薬は無色透明の液体で毎朝1回
10ccほどを服用する。これを飲んだ後、アルコールを
摂取すると酒がまずく、少量飲んだだけで気分が悪くなる
という。

 効果は一日で消えてしまうため、毎日飲ませなければ
ならない。退院後、毎日出勤してもらい私の見ている所で
薬を飲んでもらった。本人の自覚もあり、しばらくは良好な
経過を辿っていた。

 半年ほど経ったある月曜日、あきらかに酒気を帯びて
出社してきた。平日は職場で毎朝”抗酒薬”を服用させる
ことができるが、週末はそれができない。同居している
息子さんに期待するしかないのだが・・・。

 彼がまた飲み始めてしまったのは、別居している奥さん
から弁護士を通じて、社長宛に給与の差し押さえ請求が
出されたことがきっかけのようであった。