「典故300則」その2712013年06月19日 08:46


 今日のテーマは“応声虫”、中国の伝説上の奇病である。この病気に侵され

ると、高熱が続いて苦しんだ後、腹に出来物ができ、次第にそれが口のような

形になる。この口は病気になった者の喋ったことを口真似するため、応声虫の

名がある。喋るだけでなく食べ物も食べる。自ら食べ物を要求し、これを拒むと

患者を高熱で苦しめたり、大声で悪口を叫んだりもするという。

 典故300則その271:应声虫 ying sheng chong

 その昔杨勔という男がおり、彼が中年の頃、怪しげな病にかかってしまった。

彼が話をしたり声を出したりするだけで、腹の中でそれを真似た声がした。彼は

とても悩んで、いろいろな薬を飲んだが治らなかった。程なくして刘伯峙という者

が彼に教えた。“あなたの腹の中には应声虫という虫が湧いたのです。この《薬

草一覧》に書かれた薬草の名前を、最初から最後まで読み上げると、应声虫は

必ず繰り返します。もし、あなたが読んだどれかに应声虫が答えなければ、その

薬が効きますよ。”

 杨勔は刘伯峙の言うとおりにやってみた。すると“雷丸”を読んだとき、应声虫

は答えなかった。杨勔がすぐに雷丸を服用すると、はたして病は完復した。

 その後、人々は見識もなく、ただ付和雷同(安易に他人に同調する)する人を

应声虫と呼んだ。