「典故300則」その1362013年01月14日 09:38


 今日の主人公は重耳(ちょうじ)、春秋時代の覇者であり、死後文公と呼ばれ

た人物である。この晋の英雄の陰に泣いた一人の女の物語。

 典故300則その136:就木 jiu mu

 春秋時代、晋の公子重耳は父の愛妾である骊姬の迫害を受け、狄国へ逃れ

た。 この時、狄人の捕虜となった二人の娘が重耳に贈られ、一人を叔隗、もう

一人を李隗と言った。重耳は李隗を娶り妻とし、叔隗を赵衰に嫁がせた。

 その後、重耳は斉国へ行かねばならなくなり李隗に言った。“二十五年待って

もし私が戻らなければ誰かに嫁ぎなさい。”

李隗は言った。 “私はもう二十五歳です。二十五年も待ったら老いさらばえ、誰

に嫁げますか? 私はこのままあなたの帰りを待ちましょう。”

 “就木”は棺に入ること。以来、“就木”は死ぬことを言う。“行将就木”は死に際

のことを喩える。