中国映画「菊花茶」2010年11月28日 21:59

 昨日は日本語ボランティア養成講座の懇親会に参加した後、取手

市の日中友好協会が主催する映画鑑賞会に出かけた。一緒に講座

を受講した熊谷氏の誘いに応じてのことである。会場は偶然にも先週

初めて食べに行った「にんたまラーメン」を経営している「ゆにろーず」

本社の2階であった。

 作品のタイトルは「菊花茶」、2000年に創られた中国西安映画制作

所の作品である。原作は日本でも馴染みのある「山の郵便配達」の原

作者でもある彭見明(ポン・ヂェンミン)が書いた「愛情」という小説を基

にしている。監督は金深(ジン・チェン)、主人公の馬建新(マー・ジェン

シン)を陳建斌(チェン・ジェンビン)が、ヒロインの李衛華(リー・ウェイ

ホゥァ)役を呉越(ウー・ユエ)が演じている。

 青海省ゴルムド市、中国中西部に位置する人口10万余りの小さな

街で、凍てつく長い冬が訪れる厳しい土地が舞台である。ゴルムドと

はモンゴル語で“河川が集まる土地”という意味だそうである。女性に

対して臆病な鉄道技師の馬と、彼らに古典詞を教える病弱な娘李衛

華とのプラトニックな恋の道行きを、旧暦の「小雪」から「啓蟄」までの

節気に重ねて描いている。

 登場人物は全て善人である。憎むべき人間は一人も登場していな

い。互いに助け合い思いやる“清く貧しく美しく”生きる一般市民の姿

は、昭和30年代の日本社会を思い起こさせる。清潔病と健康病、そ

して拝金病に取り憑かれた今の日本、果たして幸せなのだろうか。人

の幸せとは物質的な豊かさとは相反するものなのかも知れない。この

映画は、そんなことを感じさせてくれる。