優勝できなかった横綱2010年11月16日 22:15

 昨日は第69代横綱の白鵬が69連勝を目指して邁進中、宿敵稀勢の

里に敗れ連勝が止まったことから、歴代横綱の輝かしい連勝記録を覗

いてみたが、今日はもっとも残念な横綱について調べてみた。

 江戸の昔から続いている初代明石志賀之助から現在の第69代横綱

白鵬翔まで続く大相撲の最高位継承者達だが、たった一人だけ一度も

優勝経験の無い横綱がいる。約300年の歴史の中で一人だけである。

 第60代横綱双羽黒光司である。横綱在位は僅か8場所で、成績は

74勝33敗13休という平凡な記録が残っている。今では二場所連続の

優勝又は優勝とそれに準ずる成績(準優勝)が必須条件となっている

が、双羽黒が大関当時第58代横綱の隆の里が引退し、千代の富士が

一人横綱で孤軍奮闘していた。

 相撲人気の高揚を考えた協会は、甘いマスクで女性人気の高かった

彼を無理矢理横綱に昇進させた感があった。ただ、彼はかなり問題の

多い力士だったようで、部屋の若い衆に暴行を加え何人も病院送りに

しているという噂もあった。また先代の親方(安念山)との金銭問題に

纏わる確執もあり、相撲に専念できる情況にはなかったようだ。

 結局、横綱昇進後僅か一年余りで親方のおかみさんを殴ったという

理由で相撲界を一度廃業している。廃業後は、お定まりの格闘技に

転向したがこちらでもさっぱり芽が出ず、現在は当時後輩であった現

立浪親方(旭豊)に拾われ、部屋に戻って後進の指導にあたっている。

 あの時あわてて横綱にならなければ、もう少し違った相撲人生があっ

たのかも知れない。誠に残念な横綱であった。